これからの季節、クライミングは伊豆とか小川山へシフト。暑くなって登りにくくなるからなのだ。
一応、クライミング初心者として通るべき道として、小川山ストーリー(5.9)という課題を登るつもりでいるのだけど、もっと様々な岩に触れておくべきと今回は湯河原幕岩をチョイス。
交通至便な上、2〜3月は咲き乱れる梅の花にまみれることができるという、伊豆切っての岩場。岩質は安山岩。大分にある八面山と同じなので、雨で登れなかったリベンジという意味合いも強い。
リードクライミングはさんざんジムで練習してきているので、リード初外岩となった今回は、クイックドロー(カラビナ)のセットと回収、支点の作成方法やその他諸々のロープワークの実践を中心に、あわよくばいろんな岩を触ってみようという趣旨。
ひとまず、正面壁にあると言われるアッチョンブリケIとIIを触りに行く。これらはグレードが5.5と5.4とかなり易しめな上、クリップ数も2個と超短い。初めての湯河原体験にもってこいじゃないかと思った。
正面壁へはハイキングルートを進んで、適当な踏み跡から壁へ直上していく。これがかなりきつい。「アップいらなくね?」というレベル。登山靴欲しくなるレベル。
しばらく登っていると、上の方から「おーい!こっちだよー!」と声がかかる。救いの手をさしのべられたような気になって、登っていったら一人のおじさんが立ってた。どうやら、仲間が登ってきたのだと勘違いして声をかけたらしい。
おかげで助かったんだけど。
トポ(岩場のガイドブック)を広げて「ここ、どこですかね。」と聞いてみた。「正面壁ってことしかわからないなー。詳しい人は今あそこにいるんだよ。」と壁を指さす。見ると壁に張り付いている人一人。「それってなんて課題だっけー?」とおじさん。壁から「えっと、この隣がポニーテールってやつだよ」と返ってくる。
すかさずトポを見てポニーテールの位置を確かめてみる。
「行きたい岩場はもうちょっとあっちのようなので行ってみます。」と伝えたら「え?そうなの?あの辺のクラックとかほら、簡単そうだよ。ちょちょいっとやってみなよー」と誘われるも、外岩リード初めてのレベルで10aとかがひしめいている正面壁になにも考えずにとりつくなんて怖くてできない。
少し森の中を歩いていくと、広場に出た。ひとまず荷物をデポして、さらに先に様子見に行ってみたら、森が途切れた場所に壁があって、ボルトが3つほど見える。トポには書かれていないようだ。「5.7?ぐらい?」そう思って荷物を取りに戻り、とりついてみた。
スタートこそサクっといけたものの、ボルト2個目ぐらいからホールドを見失い、ほんとにいけんのかこれって気分にさせられる。
何度かレストした後、無事最終の残置カラビナにロープをかけることができた。そっと体重をかけてみたら、ギシギシと嫌な音がしてきたので、ここは自前のカラビナで支点を作って、最後は懸垂下降した方がいいんだろうなと思いつつ降りる。
もう一度登ってみたら、今度はすんなり。5.7にしては簡単かなーとか思えた。
直射日光がものすごいところだったので、一旦荷物をまとめて広場へ戻り、さっきの壁は何だったのかを考察するも、全く見当が付かない。
少なくとも目指すアッチョンブリケじゃないなと、軽く食事をした後、アッチョンブリケを探しに行く。ひとまず踏み跡を戻ってみたら、目の前に小さい岩があって、銀色のボルトが見えた。高さ的にはハイボルダーってぐらいの壁で、ドスラブ(60度ぐらいの壁)。近づいてみてボルト数を数えてみたら2個。どうやら目的地に着いたみたい。
ひとまず登ってみた。スタートが核心じゃないかってぐらい難しい。1/3もいければあとはハシゴを登るような快適さ。後半は5.5って言われても納得いけるレベルだけど、スタートだけ見たら5.7とかでもきかないんじゃないこれ。
ドローをセットしながら登って、最終点を確認。頂上から歩いて降りられるようになってたので、続いてスリングと環付きカラビナで最終の支点を作ってしばらく戯れることにした。

見かけとは裏腹に前半のホールドに乏しく、スラブ入門としても通用するんじゃないのこれってレベル。ホールドをつかんで引くという動作の他に、ホールドを押す(プッシュ)動作も求められる。
外岩はこうでなくっちゃね。
夏日な気温であっという間に水分を失ってしまうため、用意した1リットル分がなくなりそうだというのもあり、一旦下山することにした。
んで、次は人気が集中しているという茅ヶ崎ロックエリアへ。コーラを買って梅林の中を行く。
茅ヶ崎ロックエリアはアクセスしやすいってのと、足場が平坦だというところから、若い人に大人気。対する正面壁はもはやアルパインクライミングの様相を呈している。
茅ヶ崎ロックでは比較的登りやすいグレードの壁がある「大滝フェイス」を目指す。しかしそれがどこかわからない。
近くにいた人に「ここはなんて課題ですか?」と聞くと「ここは桃源郷って岩です」と教えてくれた。そこからトポを見ながら大滝の場所を想定していく。
どうも枯れ沢の上にあるらしい。
ガレ場を登っていくと、枯れた滝がお目見え。高さ10m以上は軽くある。んで、スタート位置がわからんw
つか、岩湿ってるんですけど。登れるんですかこれ。

グレード5.7ぐらいのルートを選んで写真中央付近からとりついてみる。ちょうど真ん中のへこんでいる部分に体が入る感じなので、そのスケールがわかっていただけるだろうか。
少し登ったところで1本目のボルト。極小のホールド。限界まで来る指パワー。死にかけになりながら2本目のボルトへドローをセット。ロープをかけたところで力尽きた。スタートしたところまで降りて、時間を見た。16時。そろそろ撤収しなければ。
外岩でのリードの場合、登りつつドローをセットしていくのだけど、最後は最終点から降りながらドローを回収していく。
つまり、登れなかった場合、一番最後のボルトにセットした自分のドローを支点として降りていくことになる。
残されたドローはどこか別のルートを使って最終点までたどり着くなどして、回収しない限り、残置していくことになる。
ドローは1個3000円とかする。なので、残置して帰ったら、まず誰かに回収されてしまうだろう。何とかしてこのドローを回収しないと...次、行きたい岩場で登れなくなってしまう。
写真ではわかりにくいのだけど、滝の上部にある木に、ロープのようなものが巻き付いている。どうやら、トップロープでも登られているらしい。
トップロープのセットは、別のルートから上部へ向かって、そこからロープを垂らすのだ。つまり、上部へたどり着けない訳じゃないってことだ。
僕は一旦写真を撮った場所まで降りて、右側の藪を突っ切ることにした。念のためクライミングシューズを履いて、ロープを首に巻き、セルフビレイ用のスリングをカラビナを腰につけて、一気に直上。枝という枝をつかんで、体を引き上げて、枯れ葉がつもって、踏めるかどうかわからないところを避けて、できるだけ木の根がある場所に足を置いて。
地面が枯葉なだけあって、足にかかるストレスは岩に比べて小さく、掴みたい枝が若干遠かったときはジャンプできるぐらいの余裕があった。いや、逆に追い込まれてたかも。だって、登ったら最後、そのルートでは滑落以外で降りるすべがないから。
下手したら死んじゃうよなっていうか、死にかけてるとも言うよなと思いながら、まさに不乱に登り続ける。
しばらく登ったところで岩が露出してきた。やっとクライミングシューズの威力発揮である。見渡すと、ロープをかけたい木よりもさらに数メートル上に来てしまっていた。ここからは降りていくわけだ。
枝と岩を頼りに降りていって、目標の木にセルフビレイをとって、ロープをかけることができた。
持ってきたATCにロープをセットして懸垂下降の体制をとって、セルフビレイを解除。奇しくも、初めての懸垂下降をこんな形で実践することになった。これが意外と楽しかった。
残置していたドローを回収して、元いた場所に戻った。
次からは最終点にたどり着ける別のルートがあるかどうかを考える必要があるなと思いつつ、フェイスをあとにした。
大滝から降りていったら、ほとんどのクライマーは撤収したあとだった。気になる課題にちょっと触ってみた。なんとなく、登れそうな雰囲気。次来たときはこれやろうって決めて、僕も撤収。
伊豆にはもう一つ、城ヶ崎という有名な岩場がある。一番人口壁に近い岩とも言われている。
いずれは城ヶ崎も攻めてみたいのだけど、ここのとあるエリアは懸垂下降が必須項目だったので、やっと、いけるレベルになれたのかなとか思った。