« ファインダー割った | ホーム | アミノ酸プラセボレポート »

2008年7月 4日

リアルタイム更新される

リアルタイム更新はおもしろい。
僕はtwitterやmixiを使って、よくリアルタイム更新をやる。僕が今どこで何をしているのかを、時間が共有できるわずかな人たちにブロードキャストできる楽しさは、やった人にしかわからない。
見ている人も、更新を今か今かと待ってリロードを続け、ページが更新された瞬間の、何とも言えない安堵感と興奮が入り交じった複雑な気持ちは、リアルタイム更新ならではのものだと言える。

普段リアルタイム更新をやる立場である僕が、ひょんな事からリアルタイム更新される対象になってしまった。
厳密には僕ではなく、僕が持っている「石」がリアルタイム更新されたわけだが、今日はその裏側をちょっとお見せしたいと思う。

僕が普段インターネット接続でお世話になっているニフティがやっているポータルサイトで、デイリーポータルZというサイトがある。
いろんなライターが、日替わりでちょっとユルくて、ちょっと心地いい、そんな記事を公開している。
先月そんのなかの企画として「持ってけ!石リレー」というのがスタートした。
ライターが日本の4地点に石を置いて、読者がそれをリレーしてお台場を目指すという、聖火リレーをモチーフにした、読者参加型の企画だ。

読者は石を手に入れると、どこか別の場所へ移動して、どこに置いたかを報告し、その報告を見た別の読者が石を持って移動し...を繰り返していく。もちろん、他の読者に先を越されることもあれば、隠し場所がわからないこともある。

そうやって運ばれてきた石を、僕は運良く手に入れることができた。
その辺からお話ししよう。

6月28日の夜、僕はある商品のレビュー記事をカリカリと書いていたのだけど、息抜きがてらに石リレーのサイトをチェックしてみたらサイトが更新されていた。
あれ、確かさっきは足立区役所だったのに、横浜に移動してる!

このサイト、いつ更新されるのかわからない。デイリーポータル自体は11時とか16時とかに更新されるけど、コーナーによって23時ぐらいに更新されるものがあったりと、油断も隙もない。
時計を見るとちょうど0時を回ったところ。外は活発な梅雨前線が通過中で、大雨と強風のまっただ中。
場所は山下公園。

0時を回って終電もなく、この雨と風、自転車では向かえないし、車があっても雨の中をずぶ濡れになるリスクが伴う。
故に、ライバルはほとんどいないと判断。
あとは原稿を待っている人がどう言うか。
「石が横浜に移動したので今から取ってきていいですか。」
「いいよ。石優先で。」
「帰ってから原稿書いて送ると、3時とか4時とかになるけどいいですか。」
「いいよ。」

この人がこんなに寛大なのは理由がある。
実は石が横浜に来る前に、東京駅に置かれたことがあった。
その人はそこで石の捕獲に失敗した。
まさに僕の挑戦はリベンジマッチとなるわけだ。

僕は雨の中の行動にも慣れてるので、レインウェアを着てフラッシュライトと傘をもって車を走らせた。
浦安から横浜までは40分ほどで着く。
道中、雨は降ったりやんだりで、心の中ではやんで欲しくなかったのだけど、場所によってはすっかりやんでいたりもした。
湾岸線を走っていくと、羽田空港を通過する。折しもサミット開催が迫っているということもあり、空港は今までに見たことがないような超厳戒態勢。空港中央出口を出たらすぐ検問がある。

実は石を手にしたら羽田に置こうかなと思っていた。
しかしこの厳戒態勢で、変な石を置き去りにしようものなら、間違いなく人生が変わる。そんな予感がする。

程なくして横浜に到着。山下公園に併設された市営駐車場に車を置いて、傘を持って石の捜索。
指示された石碑の裏側を見る。しかし、石はそこにない。
もう持って行かれたか。さすが都会だ。レベルが高い。
石がないならその場から立ち去ればいいものを、もう一度よく確認しようと、持っていたフラッシュライトで陰になっている部分を照らす。
すると、小さな石がちらっと見えた。

「あったーーーーーーーーーーーーーー!」

僕は地図を持ち歩かない人なので、万が一道に迷ってはいけない(僕はカーナビも使わない)と、電話の向こうで地図を開いて待っていた"原稿を待っている人"に捕獲した旨を伝え、横浜を後にした。

さぁ、あとは石をどこに置くか考えるだけだ。

石の名前は「ワン」。犬吠埼からスタートしたから、ワンなのだ。

ワンをダッシュボードに乗せて、車を浦安に走らせる。
微妙な振動をワンが拾ってかたかた揺れるのが怖い。マジで生きてるみたいな石。
信号待ちでディテールを確認する。砂岩。最近割れたのだろう、真新しい断面がある。元々はタイルみたいな用途だったのかな。
表に「ワ」裏に「ン」と書いてある。どっちが顔か。やっぱり「ワ」かな。

信号青。
改めてどこに置くか考える。
羽田はダメ。職場近くの半蔵門は皇居とか大使館がひしめき合ってるので、同じくダメ。仕事が忙しく24時間以内(石は一人24時間まで持つことができる)に気の利いたところに運ぶ自信がない。
霧雨にナトリウムランプの光がぼんやりと拡散する。
3車線の真ん中を法定速度で走っていたら、左右同時に別の車に抜かれる。ものすごいしぶきがフロントガラスにあたり、一瞬目の前が見えなくなる。
「あーもう、どこかに置くなんて面倒だ。それだったらいっそ、ゴールしてしまえ。」

車はちょうど13号地を通過したところだった。またの名を、お台場。ゴール地点だ。

ワンを家に持ち帰り、ゴールする旨をデイリーポータル編集部に送信。
残っていた作業を片付けて3時に原稿送信。日が出てきたのでそのままTOKYO BAYの撮影をした。

東京湾を堪能なさるワンさん

仮眠後、出勤しながらワンの写真をいろいろ撮影。

舞浜駅で著作権を気にされるワンさん

そしてその日の12:28にデイリーポータル編集部の安藤という人からメールがあり、ゴール日が7/2以降になることが告げられた。
思いがけず、ワンと長くいられることになる。

7/2の予定を確認し、問題ないと返信。
少しして返答があり「リアルタイム更新を考えています」とある。

一瞬躊躇する。
個人サイトで顔をさらすぐらいどうってことはないが、相手はデイリーポータルである。WEB系のアワード受賞歴もあるし、ライターの記事が流行につながった例も少なくない。
そんなメディアに顔をさらすことに、躊躇した。

しかしながら、僕の性格は基本的には「シャイだけど目立ちたがり屋」なので、OKすることにした。
腹は括った。あとは、精一杯盛り上げるだけだ。

安藤さんとのやりとりで、ゴールのお台場カルチャーカルチャーには20時に到着するように、職場近くまで向かえに来てもらう事にした。
最寄りの出口と時間をこちらから指定した。

メールでは非常に淡々とした印象を受ける安藤さん。
デイリーポータルではどんな記事を書いているんだろう(この段階で僕は安藤さんが誰か知らなかった)と、記事をチェックしたら...

蜘蛛の巣張ってた

ギャップがすごい。

ゴールまではワンを食事に連れて行ったり、いろんな人に見せたりした。
ほとんどの人が企画を知らず、人によっては「あ、近所通ってる!行けばよかった!」と悔しがる人もいた。ちょっと嬉しかった。

気になったのは、サイト上ではワンは消息を絶ってしまっていたことだった。
横浜から持ち去られているのに、次どこに置かれたか報告がない。心配している様子の応援メッセージがあった。

そしていよいよ、ゴールの日を迎えた。
リアルタイム更新用のブログが作られて、あらかじめ僕が送っておいた写真がアップロードされた。
サイトの更新は17時から始まる。仕事が手につかない。

社内でも大々的に宣伝したので、何人かはサイトをチェックするんだろう。
乗りかかった船だ。むしろ自分で大波を起こすつもりで行こう。

17時過ぎ、ブログの更新が始まった。
安藤さんがニフティを出たらしい。待ち合わせは19時。早すぎないか。

しかし安藤さんは19時前に待ち合わせ場所に着いた模様。どうやら、どこかで寄り道していたみたいだ。

東京駅で石を取り損ねた人も誘って待ち合わせ場所に移動。
そこに、安藤さんがいた。
いかにもアイアンマンな感じがする人だ。引き締まった体に、筋張った腕。ただ者ではない。そして笑顔がまたいい。全身でいい人なオーラを感じる。
ワンを見せたら「はじめてみるんですよ」と感激してくれた。

写真を撮って早速移動。
まずは半蔵門から永田町に一駅移動して、有楽町線に乗り換える。
永田町で僕はファインダーを落として割ってしまう

「なんか衝撃的なものをみたんですけど」と安藤さん。心配をよそにファインダーをポケットに突っ込む。

有楽町線の乗り換えで時間があったので自己紹介と名刺交換。
リアルタイム更新をするので、電波が使えるところで一気に更新をしなければならず、安藤さんは終止携帯とにらめっこ状態だ。
時折カルチャーカルチャーにいるスタッフから連絡が入る。

豊洲でゆりかもめに乗り換えるのだが、思ったよりも早く着きすぎてしまっていたようで、ここで時間を調整することになる。
「どうしますかねぇ」と悩んだ結果、豊洲にある変なものとムーディーなものにワンをご案内することにした。

豊洲のスーパーあおきに入って、1ガロンタバスコとワンの記念写真を撮る。
安藤さんお気に入りの様子。
そして、ドックに移動してオブジェになったクレーンと一緒に写真を撮る。

R0012389

気を利かせた安藤さん、記念撮影もしてくれた。

道中安藤さんはいろいろ話をしてくれた。
石が明後日の方向に動いてしまって、いつゴールするんだろうと心配していたことや、僕が送った写真があまりにもよく撮れていて、

商品レビューにお付き合いいただきました

玄人カメラマンのようなおっちゃんが石を持って現れたらどうしようと思った事など、見かけによらず、素直な人なのだという印象を受けた。
だからメールが淡々としているのだろう。

そしてその反動が記事なのか。

いずれにしても、この人はとてもおもしろい人だ。
駅に向かいながら写真の話で盛り上がる。本城直季を知っている。アオリという言葉を知っている。この人、写真に関しては素人じゃない。
そういえば、この日更新された安藤さんの記事は「シズル感」だ。写真に関して並以上の知識と腕を持っている。何者だろう。

写真の話はとどまるところを知らず、安藤さんは僕が撮っているカップ麺写真に興味を持たれた様子だった。

ここまで写真の話で盛り上がれたのは久しぶりだ。

ゆりかもめで最後の撮影。
あとはカルチャーカルチャーに持ち込むだけだ。

青海駅から徒歩で向かう。
途中で安藤さんから「すいません、ここで待ってていただけますか?ちょっと準備があるんです。」と告げられた。
聞くと、ずっと持っていた細長い箱にはレッドカーペットが入っているらしい。

なんかすごいことになってきた...

そういえば小ネタ道場主でおなじみ、石原たきびさんもいらっしゃるという。
緊張と不安が入り交じる。

しばらくして安藤さんに呼ばれた。
「えっと、ボケたりしたほうがいいですか?」と聞いてみた。
「いや、あの、御輿かつぐんで。」と返された。

想像のさらに上を逝かれた。

現場に着くと御輿のベース(他のイベントで人を乗せたらしい)が置かれてあって、カルチャーカルチャー店長の横山さん、道場主でワンのスターターでもある石原さん、石つながりで安藤さんの代わりにブログを更新していた石川さんと、撮影担当の方もう一人(すいません名前を伺うのを忘れました)。

ワンを御輿に乗せ、かついでもらって、僕が先頭でカルチャーカルチャーに入る。
都度撮影を入れ、都度ポーズをとり、都度表情を作る。
思い切って、豪快に、派手に。

「素早く入ろう!素早く!」と横山さんが言っていた。
どうやら御輿担ぎで怒られたことがあるらしい。

ゴールテープを切ったり、くす玉を割ったり、クラッカーをならしたり。
スターターの古賀さんのビデオメッセージ、石原さんから記念品の贈呈をうけて、セレモニーは完了。

R0012397

安藤さんは更新モードへ。

わざわざ僕のためにカルチャーカルチャーを開けてくれたことや、手作り感満載のこのイベントに僕はとても心を打たれた。こういうのに弱い。
かつて、全力でマネックス証券を応援していたあのときの記憶が蘇る。

石原さんは「道場主」であるけど、怖い印象はなく、よく気がつく優しい紳士だった。僕は緊張していたけど。
店長横山さんは見かけ通りの豪快な方。しかし、記念撮影中に照明の当たり方やカメラのホワイトバランスにまで気を配るプロ意識はさすがだと思った。
石川さんはおとなしい男性。デイリーポータルの運用の話を少し聞かせてくれた。WEB製作会社の社員である僕は、危うく営業モードになりそうだった。

ワンは唯一、スタート時に読者に持って行かれなかった石なのだそうだ。
石原さんは「内向的な子なので」と言っているとおり、あまり旅をせず、ほぼまっすぐお台場に到達した。

石話に花を咲かせた後、撤収することになった。
石原さんはレッドカーペットを丸めていた。下駄履きで。やっぱりいい人だ。

R0012400

皆様にお礼を言って、僕らはカルチャーカルチャーを出た。
あ、忘年会行きます。

帰宅してからリアルタイム更新されたブログをチェックした。
割とよく写っていてホッとした反面、やはりがんばりすぎたのか、恥ずかしさもこみ上げてきた。
でも後悔はない。たくさんの人が関わったコンテンツのアンカーをつとめるという、大役をになってむしろ大満足しているぐらい。

そして、安藤さんの事が気になるので、過去の記事やブログを見せてもらった。
知れば知るほどおもしろい人だ。写真に詳しい理由もわかった。
どことなく自分に似ている気がするから、きっと気になったんだろうなと思う。

石がもたらした人生の小さな接点。
それはつかの間の体験にとどまらず、この先の人生に大きな影響をもたらす、スイングバイとなるはずだ。僕はそう確信しているし、そのつもりで行動していくことに決めた。

最後に、この企画を立案してくれた安藤昌教さん、サイトを運用してくれている方々、石を運んできて下さったランナーのみなさん、そして、盛大に歓迎してくれた皆様、ありがとうございました。
貴重な経験と共に、人生の何らかのきっかけをつかめたと思います。
これからもよろしくお願いします。
--
Flickr ワンの写真セット

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://okamot.com/mt/hage-tb.cgi/1796

コメント(1)

ぶはは
おもろ~

コメントする

このブログ記事について

このページは、はげが2008年7月 4日 23:28に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ファインダー割った」です。

次のブログ記事は「アミノ酸プラセボレポート」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。